2005年 08月 03日
予算の審議権限。増額、減額、新設、削除の権限。
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日本国憲法 第86条(予算の作成と国会の議決)
内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない。
日本国憲法 第87条(予備費)
1 予見し難い予算の不足に充てるため、国会の議決に基いて予備費を設け、内閣の責任でこれを支出することができる。
2 すべて予備費の支出については、内閣は、事後に国会の承諾を経なければならない。
*日本国憲法は国家予算(案)の作成と審議について、上記のように定めている。一見欠陥はないと読めるが、内閣が作成した案に足りない項目や不要な項目があった場合の対応が書かれていない。
予算案の増額、減額の権限がどこにあるか、さらには予算項目の新設、削除については何も書かれていない。
(鏡・記)*
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スイス憲法第126条【第3編第3章財政 連邦予算】
1 連邦は、その歳入および歳出を、長期的に均衡させる。
2 総支出の上限は、予算で承認される前に、経済状況を勘案して推計された収入に応じて決められる。
3 前項の総支出の引上げは例外的財政需要に見合ったものでなければならない。連邦議会は第159条3項Cに従いその引上げを決定する。
4 実際の支出が第2項および第3項の支出上限を超過する場合、超過分については次年度において補填しなければならない。
5 具体的な方法は法律で定める。
スイス憲法第159条【第4編第2章連邦議会第2節手続 定足数】
1 両議会は、各々の議員の過半数が出席している場合に、有効な議事を行うことができる。
2 各議会は、また連邦議会合同審議においては、投票者の過半数で決定を行う。
3 ただし、次の事項については、各議会の総議員の過半数の賛成を必要とする。
a 連邦法律について緊急であることの宣言。
b 一回の新規支出が2000万スイスフランを超える、または200万スイスフランを超える反復的な新規支出をもたらす補助金の供与、クレジット・ラインの承認あるいは支出上限の設定。
c 第126条第3項に従う例外的総財政需要の増額。
4 略
*マッカーサー憲法草案には、予算案の減額、増額、削除、新設の権限が国会にあることが明記されていた。
日本国憲法第85条がマッカーサー草案第79条に対応し、日本国憲法第86条がマッカーサー草案第81条に対応している。
草案の第80条をすべてあとかたもなく削除したのが日本国憲法である。(鏡・記)*
マッカーサー草案 第79条
内閣は、毎年の予算を作成して、これを国会に提出しなければならない。こ
の予算は、歳出の案並びに歳入および借り入れ金の見積もりを含む、次年度の
政府の財政計画の全貌を示すものでなければならない。
マッカーサー草案 第80条
国会は、予算のどの項目についても、これに承認を与えることなく、減額し、
増額もしくは削除することができ、または新しい項目をつけ加えることができ
る。
国会は、その年度について見込まれた歳入を超える額の歳出を認めてはなら
ない。この歳入は、借入れ金収入を含むものとする。
マッカーサー草案 第81条
予見し難い予算の不足に充てるため、予備費を設け、内閣の直接の監督のも
とにこれを支出することができる。
すべて予備費の支出については、内閣はに国会に対し責任を負うものとする。
*明治憲法の姿勢がはっきりと受け継がれている典型である(鏡・記)*
明治憲法(大日本帝国憲法)第67条は、「・・・歳出は政府の同意なくして
帝国議会之を排除し、又は削減することを得ず」と、議会の反対を予想してつ
くられている。
この条項の解釈も、「憲法義解」(伊藤博文 岩波文庫)にかなり詳しく記されていた。初期議会の野党はほとんど憲法解釈に無智なまま議会にのぞんでいたから、この67条も、衆議院の圧倒的多数によって別の解釈ができると、たかをくくっていた形跡がある。(「明治大帝」飛鳥井雅道 ちくま学芸文庫 1994 258頁から要約引用)
内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない。
日本国憲法 第87条(予備費)
1 予見し難い予算の不足に充てるため、国会の議決に基いて予備費を設け、内閣の責任でこれを支出することができる。
2 すべて予備費の支出については、内閣は、事後に国会の承諾を経なければならない。
*日本国憲法は国家予算(案)の作成と審議について、上記のように定めている。一見欠陥はないと読めるが、内閣が作成した案に足りない項目や不要な項目があった場合の対応が書かれていない。
予算案の増額、減額の権限がどこにあるか、さらには予算項目の新設、削除については何も書かれていない。
(鏡・記)*
スイス憲法第126条【第3編第3章財政 連邦予算】
1 連邦は、その歳入および歳出を、長期的に均衡させる。
2 総支出の上限は、予算で承認される前に、経済状況を勘案して推計された収入に応じて決められる。
3 前項の総支出の引上げは例外的財政需要に見合ったものでなければならない。連邦議会は第159条3項Cに従いその引上げを決定する。
4 実際の支出が第2項および第3項の支出上限を超過する場合、超過分については次年度において補填しなければならない。
5 具体的な方法は法律で定める。
スイス憲法第159条【第4編第2章連邦議会第2節手続 定足数】
1 両議会は、各々の議員の過半数が出席している場合に、有効な議事を行うことができる。
2 各議会は、また連邦議会合同審議においては、投票者の過半数で決定を行う。
3 ただし、次の事項については、各議会の総議員の過半数の賛成を必要とする。
a 連邦法律について緊急であることの宣言。
b 一回の新規支出が2000万スイスフランを超える、または200万スイスフランを超える反復的な新規支出をもたらす補助金の供与、クレジット・ラインの承認あるいは支出上限の設定。
c 第126条第3項に従う例外的総財政需要の増額。
4 略
*マッカーサー憲法草案には、予算案の減額、増額、削除、新設の権限が国会にあることが明記されていた。
日本国憲法第85条がマッカーサー草案第79条に対応し、日本国憲法第86条がマッカーサー草案第81条に対応している。
草案の第80条をすべてあとかたもなく削除したのが日本国憲法である。(鏡・記)*
マッカーサー草案 第79条
内閣は、毎年の予算を作成して、これを国会に提出しなければならない。こ
の予算は、歳出の案並びに歳入および借り入れ金の見積もりを含む、次年度の
政府の財政計画の全貌を示すものでなければならない。
マッカーサー草案 第80条
国会は、予算のどの項目についても、これに承認を与えることなく、減額し、
増額もしくは削除することができ、または新しい項目をつけ加えることができ
る。
国会は、その年度について見込まれた歳入を超える額の歳出を認めてはなら
ない。この歳入は、借入れ金収入を含むものとする。
マッカーサー草案 第81条
予見し難い予算の不足に充てるため、予備費を設け、内閣の直接の監督のも
とにこれを支出することができる。
すべて予備費の支出については、内閣はに国会に対し責任を負うものとする。
*明治憲法の姿勢がはっきりと受け継がれている典型である(鏡・記)*
明治憲法(大日本帝国憲法)第67条は、「・・・歳出は政府の同意なくして
帝国議会之を排除し、又は削減することを得ず」と、議会の反対を予想してつ
くられている。
この条項の解釈も、「憲法義解」(伊藤博文 岩波文庫)にかなり詳しく記されていた。初期議会の野党はほとんど憲法解釈に無智なまま議会にのぞんでいたから、この67条も、衆議院の圧倒的多数によって別の解釈ができると、たかをくくっていた形跡がある。(「明治大帝」飛鳥井雅道 ちくま学芸文庫 1994 258頁から要約引用)